肘の関節痛の原因・症状・対処法

ドアノブをひねったり、髪を洗ったりするときに、肘が痛くて思うように力が入らない…それって肘の関節炎かもしれません。

肘の関節は人間の関節の中でも複雑な作りをしているので、肘の関節痛と一口に言っても、それが「筋肉」からくる痛みなのか、それとも「腱」や「関節」からきているのか…原因はさまざまです。

ですから、「なんだか肘が痛むなあ」と思っても、一体どこに原因があるのか分からず、どういった対処をしたらよいのか難しいということもあります。

肘は手首や肩とも繋がっているので、痛むと日常生活にも支障が出て困りますよね。

肘の関節痛は放っておくと手術でしか治せない疾患になってしまうことも考えられますから、少しでも早く対処し痛みを改善していくために、肘の関節痛の原因や症状から対処法まで詳しく解説していきます。

肘の関節痛の原因と症状

肘の関節は、3本の骨と、手首や肩とも繋がっている、複数の筋肉を繋ぐ腱でできています。

そのため、関節を曲げたり伸ばしたりするだけでなく、ひねるなどの複雑な動作ができるのですが、複雑な構成をしているために痛みの原因になる部分も「筋肉」「腱」「骨」とさまざまです。

加齢により肘に繋がる筋肉が硬くなると、柔軟性がなくなり筋肉に痛みが出たり、それを繋ぐ腱が炎症を起こしたりすることもあります。

肘の関節痛は膝や股関節と違って体重による負荷はかかりにくいので、日常生活やスポーツでの酷使で起こることが多いです。

肘の関節の痛みは「肘を使い過ぎてますよ!」という体のシグナルでもあるんですね。

それを放置したり我慢したりしてしまうとより深刻な状態になってしまいますから、肘の痛みの原因がどこにあるのか把握して対処していくことが大切です。

それでは、肘の関節痛の原因には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

主な原因と症状についてまとめました。

テニス肘(上腕骨内側上顆炎)

肘の関節痛の原因として最もよく考えられるのが、テニス肘と呼ばれる症状です。

タオルを絞る、ペットボトルの蓋を開けるなど、手首をひねるような動作をしたときに、肘や前腕部に痛みが出ることが多く、ほとんどの場合安静時には痛みはありません。

正式な疾患名は上腕骨内側上顆炎または上腕骨外側上顆炎といい、炎症を起こしている部分が肘の内側か外側かによって名前が変わりますが、どちらも同じ症状の疾患です。

はっきりとした原因は分かっていませんが、スポーツや日常の動作で手首や前腕部を酷使すると肘関節に繋がる前腕部の筋肉が無理に引っ張られ続けるため、その負担により肘関節に炎症が起こる疾患だとされています。

テニスやゴルフをよくする人に起こりやすいので、一般的にテニス肘と呼ばれています。

また、最近ではスマホの使い過ぎによりこの症状が出ることもあるようです。

自分がテニス肘かどうかは、鞄を持つ動作で簡単にチェックすることができます。

肘をまっすぐ伸ばした状態で鞄を吊り下げるように持ち、肘に痛みが出る場合はテニス肘の可能性が高いと言えます。

手の甲が内側に向いている状態で痛い場合は上腕骨内側上顆炎、手の甲が外側を向いている場合は上腕骨外側上顆炎である可能性が高いです。

鞄を持ってみても肘に痛みがないという場合、首からくる神経痛であることも考えられるので、自分の症状をよく確認してみてくださいね。

変形性肘関節症

肘に痛みがあるだけでなく、動かしにくさを感じたり、一定の範囲以上に肘関節を動かそうとすると激痛が走ったりする場合、変形性肘関節症の疑いがあります。

変形性肘関節症とは、長年のスポーツでの肘関節の酷使や骨折などが原因で肘関節の軟骨がすり減り、軟骨や骨が変形する疾患です。

発症率はそれほど高くありませんが、ひどくなると骨同士がぶつかることで骨棘と呼ばれる骨の変形を引き起こし、これがひどい痛みや可動域の制限に繋がるので、日常生活に支障が出てしまいます。

症状が進行すると、骨棘が剥がれ落ちて関節内を動き回り、関節の動きを制限したり、より深刻な痛みに繋がったりします。

また、炎症や変形によって神経が圧迫されてしまうことで、手指の麻痺に繋がることもあります。

骨折

肘がひどく痛み動かせないなど症状が深刻な場合、骨折していることも考えられます。

基本的には大きな外傷を伴うのですが、骨粗しょう症を患っている人はちょっとした転倒でも骨折に繋がることがあるので注意が必要です。

骨折から変形性肘関節症に進行することもありますから、早期の治療はとても重要だと言えます。

関節リウマチ

肘だけでなく他の関節も痛む、こわばりが気になるなどの場合、関節リウマチの可能性もあります。

関節リウマチは男性よりも女性に多く発症する自己免疫疾患という病気で、遺伝や生活習慣など何らかの原因で体の免疫機能が誤作動を起こし、自分の体の関節を攻撃し破壊してしまうという疾患です。

多くの場合、肘だけでなく手や足の指の関節も痛みやこわばりが気になるという症状があります。

特に朝起きたときに、手の指が30分以上こわばっているなどの症状がある場合は、関節リウマチを疑ったほうがいいかもしれません。

また、関節の痛みだけでなく、体がだるい、微熱が続いているなどの症状が出ることもあります。

リウマチは早期発見と早期治療が非常に大切な病気なので、リウマチかなと思ったらすぐに専門の病院を受診することをおすすめします。

肘の関節痛の対処法

肘の関節痛の原因となる疾患には、関節そのものが原因となるものだけでなく筋肉や腱が関係していることが少なくありません。

痛みの原因がどこにあるのかによって、それぞれ対処法も異なってきますから、症状を適切に見極めて対処していきたいですね。

肘の関節痛を伴う疾患には、腱の炎症であるテニス肘(上腕骨外側上顆炎)や、関節の変形からくる変形性肘関節症などがあります。

では、それぞれどのような対処をしていけばよいのでしょうか。

主な対処法をまとめました。

テニス肘

テニス肘は、手首や前腕部の筋肉の使い過ぎで肘の腱に炎症が起こることが原因で痛みを生じさせます。

そのため、痛みを軽減するためにはまずは極力手首や前腕部を使わないということが大切です。

テニスなどのスポーツをしている人は、痛みがなくなるまではしばらく控えたほうがいいでしょう。

ただ、仕事や家事などでテニス肘を発症した人は、なかなか休むわけにもいきませんよね。

その場合、できる限り肘に負担がかからないようにサポーターやテーピングで前腕部を固定するのがいいかもしれません。

痛みが軽減してきたら、筋肉や腱の柔軟性を高めるためにも肘のストレッチがおすすめです。

肘のストレッチ方法はいくつかありますが、肘をぐーっと伸ばすストレッチはいつでもどこでも簡単にできて、ストレッチしやすいですよ。

ストレッチの仕方としては、まず痛みのあるほうの腕を前にまっすぐ伸ばします。

手の甲を上にして、そのまま手首を下に曲げ、反対の手で手の甲を包むようにしてゆっくりぐーっと引っ張ります。

1回につき15秒から20秒ほどを3セット程度行うのが目安です。

手の甲が終わったら、次は手のひらを上にして手首を下に曲げ、反対の手で手のひらを包むようにして同じように引っ張るストレッチをしましょう。

炎症を起こしている部位によってどちらのストレッチで痛みが出るかが変わってきますから、痛みのあるほうのストレッチを重点的に行うことをおすすめします。

ただし、やりすぎるとかえって痛みがひどくなり悪化してしまうこともあるので、「痛いけれど気持ちがいいな」と感じるくらいの適度なストレッチがおすすめです。

変形性肘関節症

変形性肘関節症は、軟骨や骨がすり減り変形することにより起こる疾患のため、まずは整形外科の受診をおすすめします。

痛みや変形がひどくない場合には肘をできる限り動かさないようにしたり、関節部に鎮痛剤を注射したりすることで対処をしていきます。

痛みや変形がひどく、肘関節が動かせない場合には、痛みの原因である骨棘を取り除く、また人工関節を使うなどの手術をすることもあります。

変形性肘関節症は症状が進行して変形が進むと、肘周辺の神経を圧迫して手指に痺れが出ることもあり、そうなるとより日常生活を送ることが大変になります。

肘の動かしにくさなどの違和感を覚えたら、できるだけ早く整形外科にかかるようにしてくださいね。

骨折

骨折の場合は、かなり痛みがひどいことが考えられるので、まずは早急に整形外科などの病院を受診しましょう。

骨の折れている部位によって治療法は異なってきますが、特に骨粗しょう症を患っている高齢者の場合は粉砕骨折となっている場合が多く、通常の骨折の手術だと治療やリハビリに時間がかかりその間に筋力の衰えや認知症が進行する恐れもあるため、比較的負担の少ない人工肘関節置換手術が選択されることもあるようです。

人工関節のメンテナンスのために定期的に病院に通う必要はありますが、早く日常生活に復帰できるメリットもあるので、手術の際は専門のドクターに話をよく聞いてみるのもいいかもしれませんね。

関節リウマチ

関節リウマチは、体の免疫機能の異常による自己免疫疾患という病気です。

本来ならば免疫機能は体の外から入ってきた病原菌などを攻撃し、体を守る大切な働きをするのですが、それが誤って自分の体や組織を傷つけてしまうのが自己免疫疾患です。

そのため、完全な治療法というものが存在しません。

しかし、今の医療では早期発見早期治療により日常生活を不自由なく送ることもできると言われています。

ですから、関節リウマチの疑いがある場合はすぐにリウマチ科やリウマチ専門医のいる病院に行くようにしましょう。

関節リウマチの原因ははっきりとは分かっていませんが、遺伝的な要因に加えて喫煙や感染症、更年期などの外的要因が影響を与えるとされています。

関節リウマチの予防には、禁煙をしたりウイルス感染などの感染症を避けたりなどすることで、少しでも発症のリスクを下げることが大切なのですね。

発症すると一生付き合っていく病気だからこそ、普段から健康を維持しながらリウマチを予防していきたいですね。

まとめ

複雑な動きをサポートし、私たちの日常生活を支えている肘の関節。

肘の関節痛によって痛みに悩まされたり、動かせる範囲が狭くなると、普段の生活が送りにくくなって本当に大変ですよね。

加齢により筋肉や腱が硬くなると、柔軟性がなくなり傷つきやすくなるため痛みや炎症を引き起こしやすくなってしまいます。

少しでも柔軟性を維持するためにも、日頃から肘や全身のストレッチなどを生活に取り入れていきたいですね。

また、肘の関節痛の原因はスポーツや日常の動作で肘を使いすぎることによる炎症であることがほとんどですが、症状が痛みだけではない場合は変形性肘関節症や関節リウマチの可能性もあります。

変形性肘関節症は、発症率は高くはありませんが炎症や骨折から起こることもありますから、早めに整形外科などの専門の病院にかかることをおすすめします。