手首・手の指の関節痛の原因・症状・対処法

朝起きたときに手首の関節が痛む、手の指がこわばってちょっとした家事でも動かしにくい…こんな手の関節のトラブルを抱えていませんか?

手首や手の指の関節痛は男性よりも女性が悩まされることが多く、特に40代~60代の女性が持つ関節の悩みのひとつでもあります。

「これっていわゆる加齢からの関節痛?」

と思いがちですが、手首や手の指の関節の痛みは、実は更年期の症状かもしれません。

加齢による膝などの関節痛の原因は、関節内部の軟骨のすり減りによるものが多いのですが、手指の関節痛は女性の更年期障害の症状の一つでもあり、50代の女性を中心に悩まされることが多いのです。

更年期とは、閉経に伴い体内の女性ホルモンが急激に変化することでさまざまな症状を引き起こす女性特有の症状ですが、手指の関節痛と更年期が関係していることは、なかなかピンとこないですよね。

しかし、更年期特有の症状だと分かることで防げる病気もあるので、ぜひ知っておきたい知識でもあります。

なぜ更年期が手首や手の指の関節痛を引き起こすのか、またその原因や症状、対処法について詳しくまとめていきます。

手首と手の指の関節痛の原因とは

更年期障害の代表的な症状には、汗をかきやすくなるイライラするだるさや疲れやすさを感じる肌や目、口などが乾燥しやすくなるなど、実にさまざまな症状がありますが、その中の一つに手指の関節痛が挙げられます。

更年期の手首や手の指の関節痛は、腱鞘炎変形性関節症関節リウマチといった病気に繋がり症状がよりひどくなる可能性もあるので、早めに痛みの原因を把握しておきたいですよね。

それでは実際に、手首と手の指の関節痛の原因にはどのようなものが考えられるのか、主なものをまとめてみました。

〇腱鞘炎

腱鞘炎とは、主に関節の使い過ぎで、筋肉と骨を繋げている腱と、それを包む腱鞘という部分に炎症が起こる症状です。

関節を動かすときには、関節を動かすための腱という筋のようなものと、それを固定している腱鞘というトンネルとの間に摩擦が起こります。

通常ならば腱はスムーズに腱鞘の中を通るのですが、関節の使い過ぎによってたくさんの摩擦が起こると、そこで炎症を起こしてしまいます。

そのため、腫れたり痛んだりして、関節が動かしにくくなってしまうのです。

腱鞘炎は特に酷使されやすい手首や手の指、肘などの関節で起こりやすく、中でもよく起こる腱鞘炎に、親指の付け根側の手首が痛むドケルバン病と、手の指が痛むばね指があります。

最近はスマホやパソコンの使い過ぎで手指を酷使し、これらの腱鞘炎になってしまう人も少なくないのですが、妊娠中や出産後、閉経後の女性は腱鞘炎になりやすいと言われています。

その原因のひとつが、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少だと考えられます。

エストロゲンには元々腱や関節の炎症を抑える働きが備わっているのですが、妊娠出産は女性ホルモンであるエストロゲンを大量に消費するため、体内のエストロゲンが急激に減少します。

また、閉経後の更年期も体内のエストロゲンは急激に減少します。

つまり、エストロゲンの減少によって腱や関節に炎症が起こりやすくなるため、更年期の女性は関節の痛みを発症しやすくなるということなのです。

このように、女性は体内のホルモンバランスが崩れた結果、手首や手の指の炎症を抑える働きも弱まってしまうので、腱鞘炎になりやすくなるのです。

〇変形性関節症

変形性関節症とは、関節内部の軟骨のすり減りにより関節に痛みが生じたり、関節が変形したりする病気です。

日常でよく使う関節で起こりやすいので、膝や足など全身の関節でも見られる病気ですが、手指の関節で起こる変形性関節症にはヘバーデン結節とブシャール結節があります。

へバーデン結節は指の第一関節が曲がったまま伸ばせなくなり、ブシャール結節は指の第二関節がこぶのような形に変形します。

変形性関節症は基本的に長年の関節の摩耗や使い過ぎで軟骨がすり減り、関節そのものが変形してしまうので、へバーデン結節やブシャール結節も従来は指の使い過ぎで起こると考えられてきました。

しかし、最近の研究によって、へバーデン結節もブシャール結節も、体内のエストロゲンの減少に伴う更年期の症状だということが分かってきたのです。

更年期に手指の関節が痛んだり、こわばりを感じたりするときには、放っておくとへバーデン結節やブシャール結節のように関節の変形に進行することがあります。

更年期が終わってから新たな関節が変形したり痛んだりすることはありませんが、一度変形した指は自然には元に戻りませんし、変形がさらに悪化する可能性もあります。

へバーデン結節もブシャール結節も、どちらも更年期に痛みを伴い変形する病気なので、特に更年期の指の痛みには気を付けておきたいです。

〇関節リウマチ

手指の関節痛を伴う病気のうち、特に気を付けたいのが関節リウマチです。

関節リウマチは自己免疫疾患の一種で、本来であれば体の外から侵入したウイルスなどを攻撃する免疫機能が何らかの原因で誤作動を起こし、自身の体の組織を攻撃してしまう病気です。

放っておくと手指だけでなく全身の関節の軟骨や骨が破壊され、関節が変形してしまいます。

また、全身に影響を及ぼす病気なので、体のだるさや疲れ、微熱などの症状に悩まされることも多いです。

関節リウマチの原因ははっきりとは分かっていませんが、リウマチになりやすい体質を持った人が、喫煙や感染症など何らかの外的な要因が引き金となって発症すると言われています。

男性と女性の発症の比率は1:4と、女性のほうが発症しやすい病気でもあります。

関節リウマチの初期症状は、手首や手の指、足首や足の指などの小さな関節の痛みやこわばりから始まります。

リウマチの症状は1か所でなく複数の関節で起こることが多いので、手だけでなく足も痛む場合はリウマチを疑ってみたほうが良いかもしれません。

他にも、症状としては

朝起きたときに、1時間以上手がこわばる

左右対称の関節に症状が現れる

関節の痛みに腫れを伴う

といったものが考えられるので、リウマチかな?と思ったときはこれらの症状も確認してみてください。

手首と手の指の関節痛の症状と対処法

更年期の手首と手の指の関節痛から考えられる病気には、腱鞘炎変形性関節症関節リウマチといった病気があります。

変形性関節症はヘバーデン結節やブシャール結節に進行したり、関節リウマチは放置することで軟骨や骨が破壊されたりして関節が変形してしまうので、早めに見極めて対処したい病気です。

とはいえ、どれも手指の関節の痛みを伴う病気なので、

「見極めると言っても、どうやって判断すればいいの?」

「どんな対処をすればいいのか分からない…」

と不安になってしまいますよね。

それでは実際に、どのように症状に違いがあり、またどのような対処をしていけばよいのでしょうか?

それぞれの症状と対処法について詳しく見ていきましょう。

手首や手の指の関節痛 それぞれの症状とは

更年期における手首や手の指の関節痛は、主に腱鞘炎変形性関節症関節リウマチの3つに分けられます。

それぞれの病気は対処法が異なるので、まずはきちんと見極めるためにそれぞれの症状を詳しく確認していきましょう。

〇腱鞘炎

手指で起こりやすい腱鞘炎には、手首で起こるドケルバン病と手の指で起こるばね指があります。

起こる場所に違いはありますが、どちらも患部を動かしたときに痛みがあるという点が特徴のひとつです。

ドケルバン病は手首のうち、親指の付け根側が痛む病気で、アイヒホッフテストという診断方法で判断することができます。

アイヒホッフテストの方法は簡単で、手の親指を内側に入れて軽くグーをした後、親指側を上にして、ゆっくりと手首を小指側に曲げます。

その際、強い痛みを感じる、また痛くて曲げることができない場合は、ドケルバン病の可能性が高いです。

手の指の腱鞘炎であるばね指はより特徴的で、指を伸ばすときに痛み、まっすぐ伸ばそうとしたときにカクンとはねるような感覚があります。

このように腱鞘炎は比較的判断が簡単ですが、腱鞘炎はリウマチなどの他の病気と併発していることも考えられます。

他にも気になる症状がある場合は、安易に腱鞘炎だけだと判断するのは避けたほうがいいかもしれません。

〇変形性関節症

手指で起こる変形性関節症のうち、最もよく見られるのがヘバーデン結節とブシャール結節です。

へバーデン結節は第一関節で起こり、ブシャール結節は第二関節で起こります。

へバーデン結節の初期症状は、指の第一関節が痛み、腫れたような膨張が見られます。

また、指を使った後にじんじんと痛む感覚がある場合は、へバーデン結節の初期症状かもしれません。

進行すると第一関節がこぶのように変形し、関節の上に水泡のようなものができてくることもあります。

ブシャール結節の症状もヘバーデン結節とよく似ていて、症状が指の第一関節で起こるようならへバーデン結節、第二関節で起こっているならブシャール結節だと言えるでしょう。

指の痛みや腫れを伴うなど、関節リウマチの初期症状ともよく似ているので注意は必要ですが、へバーデン結節やブシャール結節は、併発していない限り該当する部分でしか症状は現れません。

足の指や他の関節も痛む、微熱が続くなどの症状がある場合は、関節リウマチの可能性もあるので、自分の症状をよく確認することが大切です。

〇関節リウマチ

関節リウマチはその初期症状が腱鞘炎や変形性関節症とも似ているため、判断が難しい病気です。

しかし、放っておくと手指だけでなく全身の関節を破壊してしまうので、早期発見が非常に大切になります。

関節リウマチの初期症状のうち、最も特徴的なのは朝起きたときの手指のこわばりです。

特に初期の場合は30分から1時間経つといつも通りに動かせるようになるので、痛みよりもこわばりが気になるときは関節リウマチの初期症状かもしれません。

また、関節リウマチは全身に影響する自己免疫疾患ですから、手指の関節だけではなく他の部分にも影響を及ぼします。

手だけでなく足の指など他の関節も痛んだりこわばったりする

左右対称の関節が痛む

全身がだるい、熱っぽい

関節が腫れぼったく、熱を持っている

などの症状が同時に現れていないかどうかも併せて確認しておきたいですね。

手首や手の指の関節痛 それぞれの対処法とは

手指の関節痛を伴う病気のうち、多くの人が悩まされるのが腱鞘炎変形性関節症関節リウマチといった病気です。

どの病気も症状が進行すると、痛みで日常生活が送れなくなったり、関節が破壊されて元に戻らなくなったりしてしまいます。

深刻な状態にならないためにも、気づいたら早めに対処していきたいですよね。

それでは、どのように対処していけばよいのか、それぞれの病気についてまとめてみました。

〇腱鞘炎

ドケルバン病やばね指などの腱鞘炎は、主に関節の使い過ぎで炎症が起こり、腫れや痛みがあるような状態です。

そのため、まずはできる限り痛みのある関節を動かさないようにするのが大切です。

テーピングやサポーターなどを使って患部を固定し、動きを制限するだけでも効果はあるので、ぜひ試してみてください。

また、腱鞘炎の対策としておすすめなのが全身のストレッチと手の甲のマッサージです。

腱鞘炎になりやすい人の特徴として、全身の筋肉が固くなっていたり、猫背だったりして血行があまりよくなかったりすることが挙げられます。

腱を引っ張る筋肉の柔軟性が衰えていることで、腱に負担がかかりやすくなり、より炎症を起こしやすくしているということなのです。

全身の筋肉は繋がっていますから、手首の周りに限らず全身の筋肉をほぐすことは、それだけ体全体の柔軟性と血行を良くすることに繋がります。

痛みのある部分のストレッチは、かえって症状をひどくする場合があるので避けたほうが良いですが、それ以外の部分のストレッチは積極的に行ってみることもいいでしょう。

また、手の甲には、血行を良くしたりコリをほぐしたりする効果の期待できるツボがたくさんあります。

中でも腱鞘炎対策としておすすめなのは、手首の甲にある太いしわの真ん中から、指1本分程度肘側に下がった場所のマッサージです。

ここは、陽池と外関という2つのツボの間にあたり、手指の動きを改善する効果や、手の血行を良くする効果が期待できます。

この部分を、心地よいと感じるくらいの力で押します。

押してみて気持ちいいなと感じないときには、少しずらして気持ちがいいと感じる部分を探してください。

もちろん、ストレッチもマッサージも痛みを伴う場合はかえって悪化させる可能性もあるので、無理にする必要はありません。

また、あまりにもひどく痛む場合は一度整形外科などの病院に診察に行くようにしましょう。

関節痛のある部分を動かさない、安静にするということを第一に、できそうなものを取り入れてみるといいですね。

〇変形性関節症

手指の変形性関節症であるヘバーデン結節やブシャール結節の原因は、関節の使い過ぎとホルモンバランスの乱れによるものだと言われています。

変形が起こっていないときでも、更年期の手指の痛みが進行することで発症に繋がる恐れがあります。

ホルモンバランスの治療により、手指の関節痛が改善した例も実際にあるので、まずは更年期の症状に加えて、手指に痛みの症状が出た段階で、婦人科のある病院を受診してみるのがいいかもしれません。

また、痛みがあるのに指を酷使してしまうと、症状の悪化に繋がり変形を進行させてしまう可能性があります。

ピアノやパソコンのタイピングなど、指を使うことはできる限り避け、安静を保つようにすることが大切です。

〇関節リウマチ

関節リウマチの原因ははっきりとは分かっていませんが、遺伝的な要因に加えて更年期や喫煙、感染症などのさまざまな要因が影響を与えることで発症する病気だと言われています。

自己免疫疾患なので完全な治療法はありませんが、現代の医療では早期に発見し治療することで日常生活を支障なく送ることも可能なので、リウマチかな?と思ったらすぐにリウマチ科やリウマチ専門医のいる病院を受診することをおすすめします。

また、関節リウマチの予防には、禁煙やウイルス感染などの感染症を避けることが効果的だと言われています。

発症すると一生付き合っていく病気なので、体全体の健康を保ちつつリウマチを予防していきたいですね。

手首や手の指の関節痛(更年期障害)と間違えやすい甲状腺の病気

更年期障害と同じく手首や手の指の関節痛があり、更年期障害とは全く原因が異なる病気に甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症があります。

甲状腺と聞くとあまり馴染みがないかもしれませんが、バセドウ病や橋本病などはこの甲状腺の病気として知っている方もいるかもしれませんね。

甲状腺はのどぼとけの下にあり、新陳代謝を活発にするホルモンを分泌する働きがあります。

甲状腺機能亢進症とは、この甲状腺の機能が何らかの原因で過剰に働きすぎてしまい、甲状腺ホルモンを分泌しすぎるという病気で、その代表的なものがバセドウ病です。

症状としては、動悸や疲れやすさ、落ち着きがなくイライラしやすくなるなどの症状があり、比較的若い女性に多く発症するとされています。

一方、甲状腺機能低下症とは甲状腺の機能が低下しホルモンが分泌されなくなる病気で、橋本病がよく知られています。

症状としては、体の疲労感や肌の乾燥、無気力や便秘など、更年期障害にもよく現れる症状があるので注意が必要です。

特に甲状腺機能低下症は比較的高齢での発症が多く、発症時期や症状も更年期障害とよく似ているので、判断を間違えて治療が遅れるケースもあります。

更年期障害と甲状腺機能低下症を見分けるポイントとしては、

首が腫れている、喉に違和感がある

食欲がないのに太る

などの症状がある場合には甲状腺機能低下症の可能性が高いので、専門の外来などを受診するようにしてください。

手首や手の指の痛みには、こんな病気もあります

更年期における手首や手の指の関節痛を伴う病気には、腱鞘炎や変形性関節症、関節リウマチなどが主に考えられますが、他にも、更年期に限らず手首や手の指の関節痛を伴う病気もあります。

膠原病

関節リウマチをはじめ、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群などの自己免疫疾患の総称です。

関節の腫れや痛み変形などが見られるほか、進行すると臓器障害の起こる疾患もあるので、早期発見早期対処が重要です。

繊維筋痛症

一般的な検査で原因が見つからないのに、全身や体の一部などに強い痛みを感じたり、睡眠障害や体のこわばりなどのさまざまな症状がある病気です。

脳の誤作動が原因だと考えられていて、こちらも早期発見と早期治療が重要な病気です。

手根管症候群

中指を中心に、人差し指や周りの指に痛みやしびれを感じる病気です。

突然発症する病気で原因は不明といわれています。ひどくなると親指と人差し指で作る丸もできなくなるほどしびれや痛みが出るので、初期の段階で整形外科などに診てもらうといいでしょう。

乾癬性関節炎

皮膚がぽろぽろと剥がれ落ちる乾癬という皮膚の病気と、関節が痛む関節炎の両方が症状として現れる病気です。

手指の関節痛に加えて、皮膚に赤い斑点のようなものができたり、肘などの皮膚が剥がれ落ちたりといった症状がある場合はこの病気の可能性があります。

免疫異常による疾患のひとつなので、この病気かな?と感じたら専門の病院を受診するようにしてください。

偽痛風

膝や手首などに、痛風に似た激しい痛みが突然現れるのが特徴です。

正式名称はピロリン酸カルシウム結晶沈着症といい、痛風とは原因が異なる病気になります。

偽痛風は変形性膝関節症と合併する恐れもあるので、痛みを感じたらすぐに整形外科などを受診することをおすすめします。

このように、手首や手の指の関節痛を伴う病気にはさまざまなものが考えられます。

症状によってはどの病気か判断に迷うものも多いので、自分の症状をきちんと確認した上で、心配なら一度かかりつけの医師に相談することをおすすめします。

まとめ

男性よりも女性が悩まされることの多い手首や手の指の関節痛。

関節痛の原因はさまざまなものが考えられますが、主な原因のひとつは更年期における閉経による女性ホルモンの減少があります。

更年期の手指の関節痛で考えられる病気には、腱鞘炎、変形性関節症、関節リウマチなどがあり、それぞれ対処法が異なってくるため自分の症状を適切に判断し、必要な場合は専門の医師にかかるなどすることが大切です。

また、更年期障害と間違えやすい甲状腺の病気や、更年期に限らず手首や手の指の関節痛を伴う病気もあります。

手首や手の指の関節痛だけでなく、全身の症状を総合的に判断して医師に相談するようにしましょう。